「though」と「although」、意味の違いは？文末に置く場合や接続詞としての使い方を紹介

黒田莉々 英語研究家 / 翻訳家

三度のご飯の次に英語が大好きな「英語の人」。英文法や英文解釈が大好物。洋書や洋画が大好きで、そこから学んだ「使える英語フレーズ」は数知れず。
米国東部の四年制大学（社会学/文化人類学専攻）をCum Laudeで卒業。帰国後は大手英会話学校の専任講師を経て、大学レベルの英語講師を20年近く経験。

現在、フリーランスで著述業、通訳、翻訳業を営む。集英社よりビジネス英語の指南書「悪魔の英語術」を出版。TOEIC975点、英検１級

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二つの対立する物事や状況を並列する時に使う「though」と「although」は、意味も形も似ているため混同しやすい英単語です。
この二つの単語は、どのように使い分けたら良いのでしょうか？

今回は、「though」と「although」の品詞の違いや使うシーンの違いなどに注目してそれぞれの使い分け方を解説します。
他にも「逆接」の意味を持つ単語はたくさんあるので、それらの単語との使い分けも合わせて確認していきましょう。

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英語の「though」とは

まず、「though」という英単語の意味や使い方を確認していきましょう。

「though」の意味と読み方

「though」は、接続詞また副詞として使われる英単語です。
ある事柄、意見、考え、状況とは反対だったり、対照的だったり、予想外だったりする文章を並べて言いたい時に使われます。

発音記号は「ðoʊ（米国英語）、ðˈəʊ(英国英語）」で、読み方は「ゾゥ、ゾォ」や「ドゥ、ドォ」に近いです。「th」の音なので軽く舌先を噛んだ状態で息を吐くときに出る濁音です。

接続詞の場合は「～にもかかわらず、～とはいえ、～だけれども」、副詞の場合は「でも、だけど、しかし」と訳されることが多いです。

「though」はカジュアルな単語なので、親しい人や友達との日常会話でよく登場します。
一方でフォーマルシーンやビジネスシーン、改まった文章の中などで使われることはほとんどありません。

接続詞「though」の使い方

逆接の接続詞「though」は、文頭に置かれることが多いです。
「though」で始まる文と後ろに続く文の間にはカンマを挟み、「Though～, …（～にもかかわらず…だ、～だけれども…だ）」の文型で使われます。

例文：Though it’s spring, she still wears a scarf.
意味：春だというのに、彼女はまだマフラーを巻いています。

例文：Though Jack bought his own car, he still commutes to work by bicycle.
意味：ジャックはマイカーを買ったのに、今でも自転車で通勤しています。

「though」は、文中で使うこともできます。
文の順番は文頭に「though」を置いた場合と逆になるので、「～, though…（…にもかかわらず～だ、…だけれども～だ）」です。
日本語に訳す場合は、後ろの「though」のある文から訳します。

例文：She still wears a scarf, though it’s spring.
意味：春だというのに、彼女はまだマフラーを巻いています。

例文：He still commutes to work by bicycle, though Jack bought his own car.
意味：ジャックはマイカーを買ったのに、今でも自転車で通勤しています。

文末に置く副詞の「though」の使い方

副詞の「though」は文末に置くのが一般的です。
「～, though.」の形で、「〜だけどね、～ではあるけどね」と直前に述べた文の内容に軽く補足をすることができます。

カジュアルな会話では、誘いや依頼、提案を断る時に「Thanks, though」や「Thank you, though」と付け加えることも多いです。
「断ってしまうけど、誘ってくれてありがとう」といった気持ちを表現します。

例文：I’m going on a business trip to Nagoya tomorrow. I haven’t done anything to prepare my luggage yet, though.
意味：明日から名古屋に出張なんだ。まだ荷物の準備は何もしていないけどね。

例文：His classes are very easy to understand. The amount of assignments is a lot, though.
意味：あの先生の授業はすごく分かりやすいよ。課題の量は多いけどね。

副詞の「though」は、同意や確認の疑問文の最後に付けて「本当に～なんですか？」「本当にそうですよね」などと強調する時にも使えます。

例文：Did he buy a new house, though?
意味：彼は本当に新しい家を買ったんですか？

英語の「although」とは

「though」に似た単語である「although」の意味や使い方も確認しておきましょう。

「although」の意味と読み方

「although」は、逆接の接続詞として使われる英単語です。
「although」の発音記号は「ɔːlðóʊ（米国英語）、ɔːlðˈəʊ（英国英語）」で、読み方は「オールゾォ、オルゾー」、「オールドォ、オルドー」に近くなります。

「though」と同じく、前述した事柄や意見、状況とは対立的・対照的・予想外である事実や状況を述べる時に使います。
日本語に訳す時は、「～だけれども、～にもかかわらず、～ではあるが、～だが、とはいえ、しかし」などと訳されるのが一般的です。

「although」は形式ばったイメージのある単語なので、フォーマルな場や論文などの改まった文章で使われやすいです。

「although」の使い方

逆接の接続詞「although」は一般的に文頭に置いて使います。
文中で使うこともできますが、文末には使えないので注意しましょう。

「although」を文頭に置く場合は「Although～, …（～だけれども…だ）」、文中に置く場合は「～, although…（…だけれども～だ）」とカンマで区切ります。

例文：Although I spoke with him only once, I found him to be excellent.
意味：彼とは一度話しただけですが、彼が優秀であることが分かりました。

例文：My grandmother is still very active, although she is now 90 years old.
意味：祖母は90歳になったけれど、今だに元気です。

例文：Although the birth rate of children is not growing, there are not enough teachers.
意味：子どもの出生率は伸びていないにもかかわらず、教師の人数は足りていません。

「逆接」を表す単語の違いは？

「～だけれども」「～にもかかわらず」「しかし」など「逆接」を表す英単語はいろいろあります。
ここでは、それらの単語と「though」「although」との使い方の違いを見ていきましょう。

「though」と「although」

「though」と「although」の大きな違いは、品詞の種類と使うシチュエーションです。

「though」は接続詞また副詞として使われ、「although」は接続詞としての役割のみ持っています。
「though」を接続詞として文頭や文中で使う場合には、接続詞の「although」と置き換えが可能です。
一方、「although」は副詞としての役割を持たないため、「though」を副詞として使う場合は置き換えができません。

また、「though」はカジュアルな場面で話し言葉として使われやすいですが、「although」はフォーマルシーンや文章の中で使われるのが一般的です。

英語では「though」と「although」のように、省略されてスペルが短ければ短いほどカジュアルなイメージになる単語が多いので覚えておきましょう。

「though」と「even though」

「though」と似た表現でよく見かけるのは、「even though」というフレーズです。
「even」は修飾する単語の意味を強調する副詞なので、「even though」で「～にもかかわらず」という接続詞「though」の意味を強めることができます。

「even though」は文頭でも文中でも使えるフレーズで、「though」と置き換えることも可能です。

例文：Even though I visited many companies, I have yet to get a single contract.
意味：たくさんの会社を訪問したにもかかわらず、まだ一件も契約が取れません。

例文：Even though it was raining heavily, they decided to go for a hike in the mountains.
意味：強い雨が降っていたにもかかわらず、彼らは山でのハイキングを決行することにした。

「although」に「even」を追加した「even although」というフレーズは存在しないので注意しましょう。

「although」と「but / however」

「although」と同じく逆接の意味を持つ「but」や「however」は、どのように使い分けたら良いのでしょうか？

まず「but」や「however」は、単純に前後の文章が対立していたり対照的な状況だったりする時に「しかし、でも」という意味で使われます。
一方「although」は、それに加えて前述の文章からは予想がしにくい状況を述べる時にも使うという特徴があります。
「but」や「however」と違い、「although」には「この状況は予想外である」という驚きのニュアンスが含まれているのです。

また、「although」と「but」は接続詞、「however」は副詞（接続副詞）という品詞の違いもあります。
同じ接続詞でも「although」は従属接続詞なので、サブの文をメインの文に補足として追加するために使います。
一方「but」は等位接続詞なので、「but」で繋がる二つの文は対等・同等なものです。

「although」は文と文を繋ぐ役割しか持っていないので単語や語句を繋げることはできませんが、「but」は文だけでなく単語や語句も繋げることができます。
また、「although」は文頭でも文中でも使えますし、「however」はおおむね文のどこにでも置くことができますが、「but」は文中でのみ使えることにも注意しましょう。

「however」を文頭に置く場合は、その後ろに、そして文中に置く場合は、前後のカンマを使います。文中では、前にセミコロンがくる場合もあります。

例文：I had no money before payday but I bought clothes.
意味：給料日前でお金が無いけど、洋服を買ってしまいました。

例文：The software update promised improved performance, however, it had several bugs.
意味：ソフトのアップデートでパフォーマンスが向上するはずだったのに、バグがいくつもあった。

「although」と「however」はフォーマルな単語ですが、「but」はカジュアルなイメージを持っています。
そのため、改まった場面や文章では「although」や「however」が使われ、親しい人との日常会話では「but」がよく登場します。

「although」と「in spite of / despite」

「～にもかかわらず」と逆接を表す他の英単語は、「in spite of」や「despite」です。
「despite」は前置詞で「in spite of」は前置詞句（前置詞のかたまり）なので、接続詞の「although」とは品詞が異なります。

「in spite of」「despite」のどちらも文頭か文中に置かれ、その直後には基本的に名詞か動名詞「～ing」が続くのが特徴です。
後ろに主語＋動詞が含まれた文章を続ける場合は、「the fact that（～という事実）」というフレーズを付け加えて「in spite of / despite the fact that 主語＋動詞～」とします。

例文：In spite of his busy schedule, he always finds time to volunteer at the local shelter.
意味：忙しいスケジュールにもかかわらず、彼はいつも地元のシェルターでボランティア活動をする時間を作る。

例文：Despite the rain, the event went ahead.
意味：雨が降っているにもかかわらず、イベントは決行されました。

例文：In spite of the challenges they faced, the team managed to secure the contract.
意味：困難な状況にもかかわらず、チームは契約を勝ち取ることができた。

「in spite of」はややフォーマル寄りの熟語です。
「despite」もフォーマルなイメージで、アメリカ英語でよく使われています。

「although」と「while」

接続詞「while」は「～の間ずっと、～する間に」という意味で有名ですが、実は「～なのに、〜だけれども、～ではあるものの、～とはいえ」という逆接の意味も持っています。
「although」との違いは、「while」がある二つの事柄や状況を「客観的な」目線から見て対照的・対立的だと述べる表現であるという点です。

例文：While I understand that it is a great piece of art,  I don’t think it will fetch a high price.
意味：それが素晴らしい作品であるのは理解できますが、高値が付くとは思えません。

例文：As this chart shows, while many users express interest in the product, few actually make a purchase.
意味：このチャートから分かるように、商品へ関心を持つユーザーは多いのですが、実際に購入するユーザーは少ないのです。

まとめ

今回は、「逆接」を表現する英単語「though」と「although」の違いと使い方を解説しました。
二つの対立する物事や状況を話題にする時に頻出する英単語は多いので、それぞれ正しく使い分けられるように何度も復習しておきましょう。