英語の複数形「these」と「those」、意味の違い分かる？正しい読み方と使い方も解説！

黒田莉々 英語研究家 / 翻訳家

三度のご飯の次に英語が大好きな「英語の人」。英文法や英文解釈が大好物。洋書や洋画が大好きで、そこから学んだ「使える英語フレーズ」は数知れず。
米国東部の四年制大学（社会学/文化人類学専攻）をCum Laudeで卒業。帰国後は大手英会話学校の専任講師を経て、大学レベルの英語講師を20年近く経験。

現在、フリーランスで著述業、通訳、翻訳業を営む。集英社よりビジネス英語の指南書「悪魔の英語術」を出版。TOEIC975点、英検１級

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人やものが複数存在する場合に「これら、あれら、それら」と指し示す英語の「these」と「those」。
この2つの単語の使い分けをしっかり把握できていますか？

今回は、「these」と「those」の意味や使い方の違い、他の代名詞との違いを解説します。
「these」と「those」が含まれるフレーズでよく登場するものも紹介しているので、会話や英文の中で使いこなせるようになっておきましょう。

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英語の「these」と「those」とは

英語の「these」と「those」にはどんな意味があるのか、またそれぞれの違いと使い分けを確認していきましょう。

「these」と「those」の意味

「these」は「this（これ、この）」の複数形で、人やものの名前などの代わりに使われる指示代名詞の一つです。
「これら、これらのもの、これらの人たち、この〜たち、このグループ」などと訳されます。

「those」は「that（それ、あれ、その、あの）」の複数形で、「these」と同じく指示代名詞です。
「それら、あれら、それらのもの、あれらの人たち、あの〜たち、そのグループ」などと訳されます。

「these」「those」はどちらも、人物・ものの名前や名称がその時点までに一度も話題に出ていない場合でも使える代名詞です。

また、「these」と「those」は、名詞の前に付いて形容詞的にも使われます。
形容詞の場合、後に続く名詞を指して「これらの（名詞）、こうした（名詞）、それらの（名詞）、あれらの（名詞）」という意味になります。

発言者がジェスチャーで対象を指し示すことが可能な時や「これら」という表現が無くても対象が分かる時は、「these」や「those」の部分は訳に表われないことも多いです。
自然な日本語にするために、「これら」「あれら」ではなく「この」「あの」と訳されることもあります。

「these」と「those」の読み方

「these」の発音記号は「ðíːz（米国英語）、ði:z（英国英語）」です。
カタカナ表記をしてみると「ズィーズ、ディーズ」に近くなります。

一方、「those」の発音記号は「ðóʊz（米国英語）、ðˈəʊz（英国英語）」です。
カタカナ表記では「ゾゥズ」に近くなります。

「these」と「those」の違いは？

どちらも複数形で、指示代名詞または形容詞として使われる「these」と「those」は、どのように使い分けたら良いのでしょうか？

日本語での訳し方からも推測できるように、「these」は発言者から見て近くに存在する人物やものを、「those」は発言者から見て遠くに存在する人物やものを指し示す単語です。
これは物理的な距離だけではなく、心理的な距離や時間的な距離が近い・遠い場合でも使い分けられます。

対象が「近い」のか「遠い」のかという判断は、発言者の感覚やシチュエーションによって変わります。
物理的な距離によって使い分ける場面であるなら、発言者の目や手の届く範囲は「these」、そうでなければ「those」が選ばれることが多いでしょう。

「these」と「those」の単数形である「this」と「that」についても、同じ使い分けができます。
対象になる人物やものに対して発言者が「近い」と感じているなら「this」、「遠い」と感じているなら「that」です。

「these」と「those」の使い方

「these」と「those」それぞれの使い方を例文で覚えましょう。

「these」を使った例文

「these」を使った文では、「These＋be動詞～（これらは～です）」「These＋＜名詞＞＋be動詞～（これらの＜名詞＞は～です）」の語順がよく使われます。
この時一緒に使われるbe動詞は「are」か「were」です。

「these＋＜名詞＞（これらの＜名詞＞）」の形で文中に置かれることもあります。

例文：These are the souvenirs I bought on my trip to Los Angeles.
意味：これらはロスアンゼルス旅行で買ったお土産です。

例文：Are these bags made of leather?
意味：これらのカバンは革で作られているんですか？

例文：These parks were maintained by the city.
意味：これらの公園は市によって整備されていました。

例文：Janet loves to listen to these music.
意味：ジャネットはこれらの（この種類の）音楽を聞くのが好きです。

「those」を使った例文

「those」を使った文では、「Those＋be動詞～（それら / あれらは～です）」「Those＋＜名詞＞＋be動詞～（それらの / あれらの＜名詞＞は～です）」の語順がよく使われます。
この時一緒に使われるbe動詞は「are」か「were」です。

「those＋＜名詞＞（それらの / あれらの＜名詞＞）」の形で文中に置かれることもあります。

例文：Those are the materials I will use in my presentation next week.
意味：あれらは来週のプレゼンで使う資料です。

例文：Would you like me to set up those computers initially so that we can be used for business?
意味：それらのパソコンを業務で使えるように初期設定をしましょうか？

例文：Those photos were taken last year.
意味：それらの写真は去年撮られたものです。

例文：Robert is into those fashions.
意味：ロバートはあれらの（あの種類の）ファッションにハマっています。

「these」と「those」を使った表現

「these」と「those」を使った日常会話で頻出する表現やフレーズを紹介しましょう。

these days

英会話でよく登場する「these」を使った表現といえば「these days」です。
このフレーズは今の時点での状況や現代をそれ以前の状況や昔の時代と比べて、「この頃、最近、近頃（は）、現代では」と表現したい時に使います。

また、「these few days」なら「ここ数日」、「these few years」なら「ここ数年」という意味になります。

例文：These days, children no longer play outside.
意味：この頃は子どもが外で遊ばなくなりました。

例文：Jane seems to have had a cold for these few days.
意味：ジェーンはここ数日間風邪をひいているようです。

in those days

「those」を使った「in those days」という表現も日常会話でよく使われます。
「these days」と反対に、以前の状況や昔の時代と今の状況や現代を比べて「その当時（は）、あの頃（は）、その昔」と表現できます。

例文：In those days, not many people lived in the area.
意味：その当時、この地域には人があまり住んでいませんでした。

例文： I am told that my father met my mother in those days.
意味：父が母と出会ったのはその頃だと聞いています。

those who

関係代名詞の「who」と組み合わせた「those who～（～する人たち、〜の人たち）」という表現も使われます。
ある特徴や条件に合う人やある行動を取る人のグループを指すフレーズです。

例文： We should give more credit to those who work hard.
意味：一生懸命働く人たちをもっと評価するべきです。

例文： We cannot allow those who drive dangerously to have licenses.
意味：危険な運転をする人たちに免許を持たせることはできません。

「those who」はフォーマルで改まった文章で使われ、口語ではあまり使われません。

those which

関係代名詞の「which」と組み合わせると、「those which（～するもの、～すること）」という意味の表現にもなります。
「those who」は複数の人々を指しますが、「those which」はある特徴や条件に合う複数の物事を指す表現です。

例文： That solutions were better than those which he came up with.
意味：その解決策は、彼が考え出したものよりも優れていました。

例文： You may not bring with you those which transmit radio waves into this building.
意味：この建物に電波を発信するものを持ち込むことはできません。

「those which」も、主にフォーマルな文章で使われる堅い表現です。

「it」や「them」との違いは？

英語の代名詞と言えば、「it」「they」「them」なども有名です。
これらと「these」「those」にはどのような違いがあるのでしょうか？

「these」「those」が指示代名詞であるのに対して、「it」「they」「them」などは人称代名詞に相当する単語です。
人称代名詞も人やものの名前などの代わりになりますが、それらの名前や名称がすでに話題に出ていて重複を避ける場合に使えます。
これが、人・ものの名前や名称が一度も話題に出ていない場合でも代名詞として使える「these」「those」との大きな違いです。

「it」は三人称単数の「もの」を指す代名詞で、主語や目的語としての役割があります。
また、「they」「them」は三人称複数の「人やもの」指す代名詞で、「it」の複数形です。
「they」は主語として、「them」は目的語として使われます。

まとめ

今回は、指示代名詞の複数形である「these」と「those」の意味や使い分けについて解説しました。
同じ指示代名詞「this」と「that」との違い、「it」や「them」など他の代名詞との違いをしっかり理解して、迷わず使い分けられるようになりましょう。